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[PR] ポイント ギャラクシー 夏が終わる頃

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夏が終わる頃

去年のことだ。夏の初めとともに僕は一人の女子と付き合い始めた。初めての彼女だった。僕はデートの場所決めに困る所か彼女にどう接したらいいかも分からず、毎日疲労していた。二ヶ月を過ぎた頃疲れはピークに達した。めんどくさいという感情が彼女に対する愛情に勝った。彼女の存在が疎ましくなった。そんな僕の心に気づいたのか、彼女は「友達に戻ろう。」そんな言葉を残して去っていった。夏の終わる頃だった。


それから僕は普段の生活に戻った。自分のことさえ考えていればいい。気楽な、自由な生活。今まで彼女とのデートに使っていた時間と金はAVに変わった。現実の女子からはぐんぐんと遠ざかっていったが気にはならなかった。AVがあればよかった。時折思い出される元カノの顔もすぐに忘れた。

しかし、そんな幸せな時間も長く続かなかった。射精後に訪れる特異な時間。誰かが言っていた。「オナニーが終わった後って凄く冷静でいられるんだけど、この時間がずっと続けば俺は今頃ポルシェを乗り回すIT社長だったはずだ。」と。唯一男が性欲と言う呪縛から開放される時間。

僕はこれを「オナニーの向こう側」と呼んでいる。

オナニーの向こう側ではAVなんて不要なんだけれど、停止ボタンを押さない限りその間も女優は画面の中で淫らに踊る。性欲から開放された僕はぼーっと女優を見つめ続けた。するといつもの淫らな女優、言い方は悪いがメスが一人の女子に見えた。AV女優といえども一人の女子。それに気づいた。

AV女優なんて「ファンです」って言ったら当りかまわずセックスさせてくれるようなビッチだと思っていた。でも、皆が皆淫乱ってわけではないはずなのだ。

例えば「お父さんが死んじゃって家計が苦しいから私が稼がなきゃならない。」とかそんな涙、涙のエピソードが。あるかもしれない。画面から見て取れる情報を全てとは思っていけない。そんなことを冷静な頭で考えていた。しかしオナニーの向こう側なんて光の速さで終わる。僕ら男は性欲と言うカルマに縛られて生きているんだ。「AV女優可哀相。僕が守る。」とか考えているうちにちんこがいつの間にか立ってて二回戦へ。そんなことが何回あった。


最初の認識の変化から二週間ほど過ぎたある日。その日は金曜日で時間は日付が変わる頃だったと思う。金曜日の夜に健全なもてない男がやることと言ったら一つでなんだ?って問われればオナニーしかない。僕も健全なもてない男であったから、「それはそれは濃いオナニーをかましてやるぞ。」と意気込んでAVを購入しに行ったのだ。

AVショップの店内にはやる気の見れない店員と安月給で風俗にすら行けないようなおっさん、母親が買ったような服を着る青年がいた。店内に設置されたビデオからAV女優の喘ぎ声が漏れていた。そんな掃き溜めみたいな所で僕はAVを選んだ。

一時間くらいたっただろうか。好みの女優を見つけた。顔、体ともにエロく、プレイ内容もよさそうだった。僕はすぐさまレジに持っていき料金を払った。

家に着くなり、AVをプレイヤーに挿し込む。いいAVってのは1分見りゃ分かる。

「これは正解だ」

にやりと笑い僕は本能に身を任せた。

数十分後。

そこには果てた僕がいた。果てた後に訪れる冷静でいられる時間が訪れていた。画面の中で乱れる女優。いつもなら女優の体、家庭事情を思って涙する所なのだけれど今日は違った。

「誰かに似ている・・・・?」

下半身を露出させたまま懸命に思い出そうとしたが、無理だった。考えている途中でまたピンコ立ちになった僕は二回戦へと進んだ。

それから何回果てたか分からない。中学卒業と同時に精力が弱まったが、その日は買ってきたAVがよかった。良い買い物をしたとほくそ笑みながら床に付いた。

それから幾度となくそのAVを見た。飽きはこなかった。しかし一向に誰に似ているかは思い出せなかった。たいして気にもしていなかった。




そのAVを買って二ヶ月過ぎた頃。携帯のアドレスを変えようと思い立った。今までの僕のアドレスはshine_shine_oreと言う自虐精神丸出しの卑屈なアドレスだった。生きろ、俺。ともに生きよう。

さすがにこれはまずいと思い、アドレスを変えることにした。

アドレスを変える際にやらなければならないことがある。アドレスを変えたことを通知しなければならない。この作業の時にMAILER-DAEMONって言う人からメールが何通も来て本当に鬱陶しかったのだけれども、それ以上に僕の心を動かしたことがある。

もう別れて数ヶ月たつ元カノのアドレスがあった。
「友達に戻ろう。」
そんなことを言っていた割に連絡は一切なかった。

「また連絡が来るかもしれない」

「もう僕のことなんて忘れている」

そんな気持ちが交差した。
結局、僕はアドレスを元カノのアドレスをそのままとっておくことにしてアドレス変更メールは送らないことにした。踏ん切りがつかない中途半端な選択。


それからまた数週間後。ファミレスで友人と喋っていた時のこと。僕が席をたち、トイレに行っている間に友人に携帯を見られた。そして元カノのアドレスが入っていることを知られた。散々けなされたのを覚えている。

「未練たらしい」
「キモイ」
「ばらされたくなかったらここ(の代金)お前もちな」

僕は何も言い返さなかった。力なく笑ってやり過ごした。ただ最後の一言を言った奴だけは思いっきり向う脛蹴っ飛ばしてやった。

その帰り道。友達と別れ原付の上で「元カノのことが好きなんじゃないか?」と自問自答を繰り返した。答えは出なかったけど、やはりアドレスは消せなかった。ただこのまま中途半端なままにしておくのは良くないと思い、消すか連絡するか。どちらかにしようと決めた。


三日後。

僕は元カノのアドレスを消した。僕が出した答えは僕がアドレスを消せなかったのは恋愛感情からではなく、元カノに一言謝りたかったからなんだとということ。これが正しいのかどうかは分からない。しかし、元カノは元気にやっていると風の噂で聞いた。僕よりイケメンで面白い彼氏もできたと。今更僕が謝ったら不快なだけだろう。そう考えるに到り、消した。これで一区切り付けることができたと思った。


答えを出したその夜。僕は上記のAVを鑑賞していた。淫靡な声を出し、上下に運動する女優を見つめながら僕は果てた。そしてまたあの時間が来た。見れば見るほど誰かに似ている。今日もまた誰か考えた。あの時間が終わりを告げる寸前に僕は悟った。


元カノ。


その女優が似ていたのは元カノだった。

目力のある大きな瞳。まっすぐに通った鼻筋。すっとした輪郭。

元カノの顔の特徴を全て抑えていた。


それ以降、そのAVでは一切抜けなくなった。AV女優が元カノに見えて仕方がなかった。僕と別れた後、親父さんが死んでしまって元カノが稼ぐしかない。そんな状況になっているのではないか。もしかしたら僕と別れたのはAV女優になるからで負い目を感じたのではないか。そんな考えが頭をめぐるからだ。そして何より、吹っ切れたと思っていた元カノを吹っ切れていなかったことにショックだった。


そして未だにそのAVを手放せないでいる。
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