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[PR] ポイント ギャラクシー 【創作】精子と僕の修羅

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【創作】精子と僕の修羅

ティッシュの上に出た白濁色の液体を一瞥してからくるっと纏めてゴミ箱に捨てる。未だに艶かしい声を上げる目の前の女性がうざったくなってブラウザを落とすと自分から発せられる音以外何も聞こえなくなった。六畳の部屋ほどの部屋がいつもより広い。

ごろりと寝転がる。血液と一緒に全ての憂鬱が体を巡って。

手がくさい。ちんこがべたつく。俺はカスだ。汚れている。ひどく気持ちが落ちていく。

「今日はひどく憂鬱そうだな」

ゴミ箱から聴こえた声に答えるように僕は溜息をつく。

医学書から非科学的な種の文献も読み漁ったが答えはなく、また48時間ぶっ続けで自分の精子が喋る理由について考えたが分からなかった。まあ、でもあれなのだ。何はともあれ今目の前の現実を受け入れるしかない。彼女もいないし、ソープに行く金もないので害はない。考えるだけ無駄な気がして僕は一切の抵抗をやめた。

「ちっ・・・・」

「てめえ、どう言う了見で今舌打ちしやがった?精子のくせにふてえ野郎だ」

「精子がなかったらお前らもいねえだろうが、ボケ」

「くせえんだよ」

ふわりとゴミ箱が浮かび上がり、それなりの速度で僕の頬にぶつかった。ゴミ箱が宙を舞うなんて話は聴いたことがないが、これも精子のせいなんだろう。体を起こして思いっきりゴミ箱を殴り返すと「いてっ!」と聴こえてすぐさまさっきと同じように僕の頬をめがけて飛んできたので右によける。

それから十分間「クズニート」「おたまじゃくしの二番煎じ」などの言葉をBGMに拳と拳が交わることになる。精子は中へ中へと攻めようとしてきたけれど、僕はそれをジャブで阻止する。我ながら華麗な動きだ。シュッシュッ!!でも、運動不足の体にそんな運動を長時間できるわけもなく1ラウンド目の終わり右ストレートが右頬をズバーンと打って僕は倒れこんだ。

「やるじゃねえか」

「お前のジャブもよかったよ」

「お前の右には負けるさ」

試合が終わった後、敗者が勝者を褒め称える。勝負の世界ではなかなか出来ることじゃないけれど、僕と精子との信頼関係がそれを可能にする。仲が悪そうに見えるかもしれないけれど、僕は結構こいつのことが好きだ。

それにしてもいいのを貰っちゃったなと頬を手に持っていく。ぐにゅっとしたの感触に驚き手を見ると精子がついていた。「へへへ」と照れる精子目掛けてアッパーカット。俺の拳が天を切り裂く。自分のものだけれど、気分は悪い。

ガッシャーンと音がして全身鏡と一緒に倒れる精子。さすがにやばいと思って駆け寄る。大丈夫か?頭部からすごい血が出ていた。僕の問いかけに精子は答えない。どうやら気を失っているらしい。カーペットに染み込んだ血を見て僕も気を失いそうになるけど、電話を手に取って119にコールする。口早に住所と精子の状態を伝え、早く来てくれと叫んで受話器を置いた。

電話を架ける前に応急処置してやるべきだった。唇をかみ締めながら精子に手際よく応急処置を施す。座布団を利用して傷口を心臓よりも高いところに持っていって、バスタオルで傷口を圧迫する。これでいいだろう。傷口を押さえる手が時折緩み、力をこめる。何分経ったか分からないが、これを4回ほど繰り返した時、精子が目を覚ました。

「すまない!今救急車が来るからな!」

「もう駄目みてえだ。お前との生活悪くなかったよ」

「そんなこと言うんじゃねえよ!あきらめるな!」

僕の目からぽろぽろと涙が零れ出す。逝かないでくれ。そばにいてくれ。傷口をおさえる手に力がこもる。

「いてえよ。もっと優しくしろ」

「我慢しろ。もうすぐ救急車が来るから」

カーテンの奥に赤い光が見えた。救急車が到着したようだ。

「自分で抑えてろ!」

そう言ってタオルを掴ませて外に行き、隊員を僕の部屋まで誘導する。

「患者はどなたですか?」

「こいつです」

そう言ってゴミ箱を指差す。

「馬鹿にしているんですか?」

「ふざけてなんかいない!精子を助けてくれ!」

隊員の一喝に僕は怯まず、ストレッチャーにゴミ箱の中の湿ったティッシュを乗せるのだが、その瞬間僕の体は吹き飛んだ。僕はどうやら隊員に殴られたらしい。精子は部屋の中央に投げ出された。

「いいかげんにしろ」

そう言って僕を殴った隊員は震えていた。

「私達はもう帰ります。こう言ったいたずらは罰せられることがありますので今後一切しないようにしてください」

もう一方が早口で僕の方へまくしたて「帰ろう」そう言って僕を殴った隊員を連れて行った。もう自分で連れて行くしかない。そう思って僕は原付のキーを捜した。

「おい!」

部屋の真ん中にで横たわる精子が僕を呼ぶが、シカトしてキーを捜す。ない。どこを探してもない。くそ。普段から部屋を綺麗にしていれば。後悔して僕はまた泣く。

「もういいんだ。俺精子だし」

「生きるか死ぬかって時に精子も人も関係ねえだろ!」

精子に感情をぶつける。鍵が見つからなかった怒りを含めた上で。

「もう治ったし」

「へ?」

作業を中断して僕は精子に駆け寄り傷口のタオルをどかす。さっきまでのおびただしい出欠が嘘のように傷口はふさがっていた。

「どうして?」

腰を抜かしそうになる。

「だって俺精子だし」

腑に落ちない。しかし、怪我は治ったようだし、精子が死ぬこともないらしい。

全身から怒りが湧き上がり僕は渾身の力をこめて精子を殴った。バッコーン!僕の右が綺麗に入って精子が吹き飛ぶ。2ラウンド目に突入だ。精子の左ブローが僕の腹を撃ち、僕はジャブを的確に精子のアゴに決めていく。時折よけられもしたけれど、みるみるうちに二人の顔は青タンだらけになる。


痛くてしょうがなかったけれど、僕はおかしくなって笑った。精子もそんな僕を見てかすかに笑う。精子の顔から笑みが消えたと思った瞬間、また右のいい奴を貰って僕はノックダウンした。
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Comment

在り来たりな感じのゴミクズに逸材なんて言葉はもったいないですよ。それよりですね、精子を見直すに一抹のエロスを感じるのですが、僕だけなんですかね、これ。

秀逸すぎる。
精子のこと見直しました。

こんなブログに足跡残してどうしようってんですか。

そうなんですね

なるほどです。yahooからきました。足跡で失礼しました。

疑問に思うだけ無駄。質問するだけ無駄。突っ込むだけ無駄。

精子のストレートってなんだよ

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